勝負は一瞬で決まる「カマキリ」
梅雨も明けオリンピックも開会し夏の本番が始まりました。
この時期から昆虫も活発に動き始めます。
今回は昆虫の狩人「カマキリ」についてご紹介します。
カマキリはビビらない!
カマキリを漢字で表すと「蟷螂(とうろう)」と書きます。
カマキリは車が近づいても逃げないその仕草から中国においては「当たり屋」の隠語としても使われています。
それほどの迫力のあるカマキリの姿から
どんな相手にも鎌で威嚇する姿勢を表す「蟷螂の斧」という言葉も作られました。
生きるためには静と動!
カマキリは見た目のとおり両手の鎌を使って昆虫を捕食します。
カマキリが生きていくためには「狩り」が最も重要となります。
狩りの成功率を上げるため、しなやかな体を動かすこともあり、それは風に揺れる枝葉と見間違えるような動きをします。
はてまた動いていると思いきや、時にはピタリと静止して植物と一体化して身を隠すこともあります。
カマキリは忍者のように隠れる!
人がパッと見てもわかりそうにないカマキリもいます。
その例が東南アジアに生息しているハナカマキリです。
ハナカマキリは幼虫から成虫にかけてその体が変化します。
幼虫は花に似ているのに対し
成虫は花に全く似ていません
そのため、
ハナカマキリは幼虫時代はあえて葉っぱの上で花になりきります。
そして、ハナカマキリの花におびき寄せられた昆虫を捕獲します。
対して
成虫は花の影でじっと隠れて獲物を待ち、
花の蜜を吸いに来た昆虫を捕獲します。
ハナカマキリはさらに
ハナバチが好きな匂いを自分から発生させることもできます。
ハナバチが好きな匂いを漂わせて誘き寄せられたところを捕獲します。
花に似ているのがハナカマキリですが
他にも枯れ枝に似ているカレエダカマキリと呼ばれるカマキリもいます。
枯れ枝のように茶色がかった体は細長く湾曲しています。
さらにその羽は枝から剥がれた樹皮を思わせるかのごとくさらに湾曲しています。
また
キノハダカマキリと呼ばれるカマキリは木の表面(樹皮)にそっくりな模様をしています。
その体を低く木の幹に張り付けて同化することで
樹木に留まっていても相手に気づかれないようにしています。
その目は偽り!
カマキリの目は複眼と言って複数の小さな受光器が集まったものです。
複眼の昆虫として有名なのはトンボですね。
トンボと同じ複眼を持っていますが、
カマキリに睨まれた経験はあるのではないでしょうか?
実はあれ、全く睨んでません。
カマキリの目は複眼ですが、
一部黒く見えるところは瞳孔ではなく偽瞳孔というものです。
複眼に入射した光が複眼で反射するのですが、
一部、入射角によって反射光がみえなくて
黒く見えているだけであれは瞳孔ではありません。
人間がただ「黒いから瞳孔だ」と勘違いしているだけで
カマキリにはそんなつもりは一切ありません。
ちなみに、カマキリの目は明るいところでは緑色ですが、
暗いところでは黒くなります。
カマキリの種類は想像以上!
カマキリは現在2,000種が確認されています。
それぞれ自分の得意なカムフラージュをして獲物を狙っています
怖いイメージのカマキリですがよく観察すると愛着も沸いてきます。
ぜひ自分の好きなカマキリを見つけてみてください。